立地条件とお客様からのご要望


拡大画像-全景

立地条件

南、北、西側を隣地に接し、東側道路に接道した閑静な住宅街の一角。道路との高低差は少なく(約150mm)、南側の庭先は狭い。


拡大画像

お客様のご要望

自家用の駐車スペース1台の確保の他に、訪問者用の駐車スペース(頻度は少ないので、多少道路に車が出ても構わない)を確保。
オープンタイプ、クローズタイプにこだわらないが、最近よく見かける“今風”の外柵は“軽く、チャラく”感じて好みではない。
付近を流れる*****の自然な感じが好みである。
玄関前に位置する既存樹(ハナミズキ)は残したい。

ご要望に対するプランのテーマと見どころ


拡大画像

テーマ

植物、石材等の自然素材を主とし、工業製品の利用をできるだけ控え、経年劣化に耐え、時とともに趣が増し(経年優化)グレード感をもたらす“彫りが深く、陰影の豊富な”計画。


拡大画像

見どころ

計画地の中で唯一まとまった空間を確保できる玄関ポーチ前のスペースを、前庭としてだけでなく主庭とし、ビジター用駐車スペースとの空間を程よく縁切りし、落ち着いた家人のための親密な空間としています。 逆に道路側からの庭空間への眺めは、圧倒的な存在感を放つ石柱のあい間から見え隠れし、奥行感が増幅されています。 敷地と道路との高低差が少ないため、縁切りには石柱だけでなく、その下部に同素材の石材で土留を凹凸に施し、陰影を深め、盛土し、“土塁” といった感を醸し出しています。また陰影感を更に深めるため、建築本体工事の玄関ポーチ端部を蹴込階段とし、照明を設置し、路面を同じ 石材としてアプローチとの連携を深めています。
石柱の上部を走る表札を兼ねたフラットバーはともすれば“自然風とだけ”になりがちなデザインの中で、一本の空間を“引締める”役 割を果たしています。いずれ蔓性植物(ヤマホロシ)が石柱間を結び、石柱と相まって額縁効果を発揮し、 その下部は季節の移ろいに応じて水鉢でも、またオブジェ等を置き、“街角ギャラリー”となり、家人だけでなく、 道往く人達の目を楽しませる事になります。

Pick Up 個別画像説明


拡大画像

自然素材を主に使っています

道路と直角方向に自家用の駐車スペースを確保し、アプローチから玄関に向かう動線は雁行させ、 直接道路側からの視線が玄関に入らないようにしています。扉等を設けないオープンスタイルの外構計画となっていますが視線を遮り、 動線を雁行させているため、落ち着いたクローズスタイルの印象を与えています。ビジター用の駐車スペースも舗装材は石材と グランドカバープランツ(ディコンドラ播種)として普段駐車していない際は、道路側に開かれた庭空間となっています。使用素材は植物、 石材等の自然素材を主として、工業製品はポスト、照明機器等にとどめ、できる限りその使用を控えています。
既存樹木のハナミズキを活かすように新規高木樹木を配植し、竣工直後ですが、落ち着いた雰囲気を醸し出している、と思われます。 年月の経過と共に更にその雰囲気は醸成されていくと考えます。


拡大画像

落ち着いた雰囲気

敷地と道路との高低差が少ないため(約150mm)通常の外構計画では、ともすれば単調になりがちである点と、 昨今のゲリラ豪雨に配慮し、列柱の基壇部には同質の石材で土留を施し、盛土とし 『土塁』 といった体裁の植込みスペースを設け、 視覚的に変化をもたらすとともに道路側からの冠水に備えています。
 石柱も表札、インターホンの設置される門袖と連繋を図る列柱と、 その他の列柱との並びを平面的に段差をつけて、少しでも凹凸感が出るようにし、陰影が感じられるように配慮しています。
 又、樹木、石材といった、ただの 『自然風』 といったデザインの中で、空間を『引締め、列柱をつなぐ』を走らせています。 フラットバーの端部は表札へと変化しています。
 フラットバーにはいずれ列柱の基部に植栽された蔓性植物(ヤマホロシ)が上り、列柱の連繋を深め、道路側からの視線を程よく遮る、『空中に浮いた目隠し植栽』 となる事が期待されます。


拡大画像

拡大画像

拡大画像

街角ギャラリー

陰影、凹凸感を出すために、建築本体工事の玄関ポーチ部も蹴込階段として照明を設け、 踏面には石柱と同質の石材を設置しています。
 又アプローチの敷石も同質の石材を設置し、その中には、解体前の旧宅アプローチに使用されていた石材を点在させ(メモリアルストーンとして)、再利用し、 既存樹木のハナミズキがもたらす緑陰と相まって、かつての生活に想いをめぐらせるアプローチ空間としています。
石柱をつなぐフラットバーにはいずれ蔓性植物(ヤマホロシ)が生育し、水平方向の目隠しになると共に、両側の石柱と相まって、 『額縁効果』が発揮される事が想定されます。
 庭空間の奥行感を増幅し、その下部に水鉢、植木鉢、 またはオブジェ等を季節の移ろいに応じて設置すれば、家人だけでなく、道往く人達の目も楽しませる 『街角ギャラリー』 の役目も果たすことが期待されます。


拡大画像

拡大画像

自然石で味わい深く、そして夜間の景観

自然石(硬質砂岩)の持つ質感とフラットバーの持つ質感が上手くコラボレーションしていると思われます。 自然な石材の表面から漏れる光は,その陰影、凹凸感を更に味わい深いものとしています。
夜間の景観は日中の『潤い、癒しをもたらす空間』といった景観に加え、 一見古代ローマかギリシャの神殿をイメージさせる表情も持ち合わせています。高木の陰影が建物外壁を表情豊かにし、 道路を隔てたお向かいのご主人からも「いやー、我が家も借景として楽しまさせて頂いていますよ。」と声をかけて頂いているそうです。


拡大画像

拡大画像

拡大画像

拡大画像

拡大画像

拡大画像

拡大画像

見た目の完成度より、永く愉しむ…というのが特徴

玄関ポーチ側から外部東側道路方向の眺めです。建物は1Fに親世代が居住し2Fに 若夫婦とご子息が住む二世帯住宅ですが、若奥様曰く「2Fから降りてくると、玄関で父と居合わす事が多いわ…」。 玄関ポーチにお父様がいらっしゃる事が多いようです。庭の持つ色々な機能(眺める、楽しむ、耕し収穫する、育てる、緩衝等…)のうち、『眺めて楽しむ』 という機能は果たしている、と思われます。石柱間の街角ギャラリーに寄与している植木鉢は、内部主庭のフォーカルポイントにもなり、 道路側外部のパブリック空間と、家側のプライベート空間を程よく繋げています。
石柱の上部を走るフラットバーはともすれば『自然風とだけ』になりがちなデザインの中で一本の空間を『引締める』 役割を果たしています。端部は『ひとひねり』した表札となっています。決して『奇を衒う』のではなくWitに富んだ 『ひとひねり』としています。
門袖背部に位置する山採りのアオダモは、石柱のテクスチュアと相まって、その幹肌がより魅力的で野趣豊な印象を与えています。
アプローチの舗装材も石柱と同質の石材(硬質砂岩)を設置し、その中には、解体前の旧宅アプローチに使用されていた石材(御影石) を点在させ再利用しています。当初テクスチュア違いが違和感を与えるのでは…と懸念されましたが、程よいアクセントとなっています。 通常であれば産廃として処分されるものが新たな役目を担わされ、家族のヒストリーの継続に一役かっている、と思われます。
構造物に関しては、自家用の駐車スペースの舗装と門袖、石柱の根固めを除きコンクリートを使用していません。 目に見える部分ではありませんが、この案件が他と異なる最も大きな特徴は、土留めの石材、アプローチの石材、 ビジター用の駐車スペース共に砂決めとして、後の改変が生じた場合に備え、資材の再利用が容易になるように配慮している事です。
 いたずらに工業製品を使用して、見た目の完成度を求めるのではなく『可変性』を持たせることによりPlanの寿命、機能の寿命、 資材そのものの寿命を永くさせている事がこの案件の特徴です。
 設計者としては、先の若奥様のお父様と玄関で居合わす事が多い、というコメントの他に、 「夜間、主人が帰宅を知らせるインターホンを押してから、なかなか、2Fに上がってこないわ…」、「お庭への水撒きが苦にならないわ…」、 「宅配のお兄さんから、癒されますね..と言われるの。」等のコメントを頂くと、誰かを癒すのに役立っていると、 思われて少々充足感に浸れます。

快適な住環境創造に向けて【その後を再点検!】


拡大画像

拡大画像

拡大画像

サルスベリの帰還・思い出の継承

 140日後の根株。サルスベリの萌芽力には改めて驚かされました。
 敷地南西の角付近に帰還?
 生長すると南隣地、外階段部分からの視線を遮られる事が期待されます。

 お母様が幼少より見ていた、敷地東道路側中央に位置していたサルスベリ。今回の工事でやむを得ず伐根しましたが、その萌芽力を期待して圃場に根株を埋めておきました。
 その結果、幸いにも見事発芽しましたので、苗を持ってきて頂きました。お母様の思い出が継続します。


拡大画像

拡大画像

訪れるアゲハチョウ

 チョウチョが頻繁に訪れるようになり、早朝、灌水するとトンボも来るようになったそうです。
 トンボは他の昆虫が増えた影響、自然が豊かになった現れだと思います。


拡大画像

拡大画像

播種120日後のディコンドラ

 ゲスト用の駐車スペースに播種したディコンドラの緑が濃くなって来ました。
 駐車スペースの機能を持った空間が潤いと和みをもたらしてくれます。